「さようなら原発 1000万人ニュース」(さようなら原発 1000万人アクション実行委員会)は12頁立て、「茨木のり子手帖」(茨木のり子の家を残したい会)は36頁立て、「生活と自治」(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会)は40頁立ての運動誌です。最近届いた読み応えのあるものばかりです。
◆死刑制度はいつまで続く
鎌田 慧(ルポライター)
6月28日の各紙朝刊の1面トップは「生活保護減額『違法』」、サブ
トップは「座間9人殺害死刑執行」だった。生と死、明と暗の両極端が紙
面化されていた。
福祉切り捨ての冷酷な政治を最高裁が違法と批判して、減額決定を取り
消した。自公政府が憲法で保障されている「健康で文化的な最低限度の生
活」を無視して、生活保護費を削減してきた残酷さが明らかになった。
一方の死刑執行は、先進国ではもちろん、世界 144カ国が事実上廃止
した死刑制度が、いまだに護持、実施されている恐怖を示した。
殺害された家族の悲しみと無念を、国家が代わりに晴らす、というのが
死刑制度のようだ。犯罪の抑止力との言い方もある。
しかし、絞首刑の恐柿を掲げて犯罪を減らすよりも、若者たちが希望を
もてるような、穏やかな社会になれば、犯罪が減るのは明らかだ。
若者の自殺者は増加傾向にある。死刑の恐怖などは絶望的になった人に
は、むしろ自殺代わりの凶行になったりする。今回刑に処された死刑囚が
殺害したのは自殺願望のある女性たちだった。
5年前、東京地裁立川支部は「犯罪史上まれにみる悪質な犯行」と断罪
して死刑判決。
しかし、起きた事件に対処するより、起きないような社会にするのが、
政治家の仕事のはずだ。
私利私欲に走っている場合ではない。
(7月1日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)